血圧のお薬を処方する時、「血圧は薬を一度飲み始めると一生飲み続けなければならないので飲みたくない。」とおっしゃる患者さんがいらっしゃいます。薬を処方して もらうために、医者に通い続けなければならない・・・・、長期間服用して副作用も心配だ・・・・、途中でやめると反動で高血圧がもっと悪化するのではないか・・・・など患者さんの様々な不安な気持ちが前述した言葉になって表現されるのだと思います。 出来れば薬は飲みたくないのは当然ですし、副作用のない薬はありません。

  しかし、 動脈硬化、心臓発作、脳卒中の予防を考えた時、高血圧のコントロールは極めて重要 です。収縮期血圧(高い方の血圧)が160以上で放置していると10年後の心臓病による死亡率は治療を受けた人の5倍近くも高い成績が報告されています。また、医者もきちんと説明をしないためか、患者さんが服薬を自己中断されている方も時々いらっしゃいます。自宅に売るほど薬があまっていて高血圧を放置したあげく脳卒中で入院される方はけして少なくありません。 薬を飲んでいないと血圧が上がってしまう方は、飲み続ける方が心臓病、脳卒中など の病気の予防の点からは賢い選択だと思います。

  血圧が安定した段階で薬の量減らしたり、種類を変えたり、あるいは中止することが出来る方もいらっしゃいます。一 生、飲み続けなければいけないかどうかは、その方によって違ってきます。先入観だけで服薬を拒否したり、せっかく飲み始めたお薬を自己判断で中止してしまったりするのは良くありません。主治医とよく相談し、なぜ服用しなければならないか、服用しなかったらどういうリスクがあるか十分納得した上で服薬を開始することが大事です。